美容室を運営する上で、様々な支援金や助成金、公庫などがあります。
でも、国からの助成金や補助金は美容室に直接お知らせが来るものではありません。
どの助成金や支援金も自分で調べて手続きしなければいけません。
使える助成金を見逃してしまってはもったいない!
知っていれば、もらえるお金が増えるかもしれません。
自分のお店で利用できるものがないか、確認してみましょう。
支援金とは?
支援金とは、国や自治体、そのほか企業などから交付されるお金のことです。
多くが返済不要で、条件を満たせば受け取ることができます。
美容室をサポートしてくれる「補助金」「助成金」「公庫」など詳しく解説していきます。
補助金
美容室の開業の際に受けられる補助金がいくつかあります。
簡単に説明すると、美容室の集客をサポートするために受けられるお金です。
経済産業省が中小企業の活性化を支援するために支給していて、基本的には返済不要です。
下記で詳しく解説しますが、「IT導入補助金」、「小規模事業者持続化補助金」「ものづくり補助金」などがあります。
いずれも、条件に合えば対象者に自動的に支給されるものではありません。
ホームページを確認して、申請が必要になります。
助成金
助成金も補助金と同様、返済不要で受けることができます。
美容室でスタッフを雇用した際に申請することができるお金のことです。
従業員の労働環境を整える目的で、厚生労働省から交付されます。
大企業、個人企業などに関係なく、個人経営の美容室も申請することが可能です。
ただし、雇用の際にかかった支出分が全額サポートになることはほとんどありません。
基本的には美容室側も自己負担を伴うことが一般的です。
一部、助成金が交付されるというように理解して下さい。
美容室で活用できる補助金の種類
美容室の集客において強い味方となる補助金。
実は、どんな補助金があるのかは毎年変わります。
こちらでは、毎年交付がある補助金3種類について解説します。
もらい忘れが無いように利用できる補助金は確認するようにしましょう。
IT導入補助金
美容室でホームページを作成する際や、予約システム、POSレジシステム、財務管理システムの導入時に受けられる補助金です。
ITツールを導入する際に、最大半分まで交付されます。
IT導入補助金のメリットは、審査が通ってから導入をすることができることです。
例えば、ホームページの作成を迷っているから、IT導入補助金の申請が下りたら作成しようということも可能です。
ただし、申請できるITツールは限られています。
指定されたリストの中から、あらかじめ導入したいITツールを選んで申請する必要があります。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、美容室の新メニューの開拓や、ホットペッパーなどによる集客など一定の施策をサポートするための補助金です。
申請が認められると最大で100万円の支援を受けることができます。
補助金の対象となるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
また、補助対象になる経費についても条件があります。
小規模事業者持続化補助金は、支払った経費に対したあとで交付されるため、先に自己資金から支払う必要があります。
事前に条件と併せて確認しておきましょう。
ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、中小企業庁が支援する補助金で、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助事業」といいます。
美容室の新商品の開発、宣伝などに使用する広告などに対して補助を受けることができます。
補助金額も500~3千万円となっており、対象の経費に対して最大2/3までが補助金の対象となります。
補助金の額が大きい分、対象や通過率など条件も厳しくなります。
事業計画書の提出なども求められますので、申請する前にしっかりと必要書類を準備しましょう。
事業復活支援金
新型コロナウィルス感染症による影響で売上が基準月の30~50%減少している店舗が対象で支援金を支給していました。
事業復活支援金を受給したら、収入として計上し確定申告が必要になります。
ただし、事業復活支援金を含めた収入の額が経費よりも少ない場合などは納税の対象外になる場合もあります。
必ずしも納税の対象になるというわけではありませんが、支援を受けたら忘れずに確定申告するようにしましょう。
※現在は事業復活支援金の申請は受付が終了しています。
事業再構築補助金
事業再構築補助金も、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け指定の期間の打ち上げが一定率以上の減少があった美容室が対象となります。
Withコロナ時代に合わせた対応をするために新しく取り組むためにかかる経費の一部をサポートする補助金です。
対象となる経費は、機械装置や、システム構築費などをはじめ、クラウドサービスの利用、広告・宣伝費など多岐にわたります。
公募に申請して、採択された企業のみに支給されます。
条件も厳しく、判断に困った場合は確認するようにしましょう。
その他の補助金
上記では、国の運営する補助金についてお伝えしました。
そのほかの補助金については、美容室のある市区町村など自治体単位で支給している補助金もあります。
例えば、東京都港区では、創業5年以内の美容室については毎月5万円の家賃補助が受けられるなどがありました。
補助金の内容や、対象の事業者については市区町村によって異なります。
もちろん、補助金が無いエリアもありますので、自治体で利用できる補助金が無いか確認するようにしましょう。
美容室で活用できる助成金の種類
つぎに、美容室で活用できる助成金について解説します。
助成金は補助金と違い、条件を満たしていれば支給されるものが多いため申請のハードルは下がります。
もらい忘れが無いようにしっかりと調べて活用しましょう。
雇用調整助成金
新型コロナウィルス感染症の影響に伴う休業や事業縮小を余儀なくされた美容室に対して労働者の雇用維持を目的とした特例措置です。
非正規雇用労働者も対象となり、労働者の休業手当などの費用の一部を支給します。
ひとりあたり1日1万5千円が上限となり支給されるため、事業主にとっても重要な助成金です。
雇用調整助成金は、美容室を管轄しているエリアの都道府県労働局またはハローワークで申請します。
厚生労働省のホームページで必要な書類を確認して、最新のフォーマットで提出するようにしましょう。
労働移動支援助成金
さまざまな事情から美容室の規模が縮小の影響で解雇となったスタッフの再就職するための支援を専門の機関に委託した場合に支給されます。
離職が決定している従業員が、就職活動のために取得した休暇や、職業訓練などを専門の支援機関に委託した場合も支給されます。
支給の内容や助成内容についてはさまざまで、コースや規定によっても受給額が異なります。
職業紹介事業者の支援を受けることなく、再就職が決まった場合は助成の対象外となります。
詳細は厚生労働省のホームページで確認できます。
特定求職者雇用開発助成金
特定求職者開発助成金とは、出産や育児などの理由から退職していた方の就職を助成する制度です。
即戦力となる経験者を雇用することで、教育にかかる負担を軽減できるというメリットもあります。
対象となるスタッフを、ハローワークや特定地方公共団体などの紹介により雇用することが条件のひとつです。
支給額は、支給対象期に対象労働者が行った労働に対して支払った金額が上限となります。
そのほか、支給要件を満たす必要があります。
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金とは、就業経験不足や1年以上のブランクがある人などを試用期間を設けて雇用することで助成されます。
介護や子育てなどで仕事を離れていた人や、フリーターなどを雇用する際に利用できる助成金のひとつです。
対象となる人材をハローワークや地方運輸局などから紹介を受けて採用します。
トライアル期間中は原則として3カ月間で、期間中は通常の勤務と同様に仕事をすることが条件です。
美容室側にとっても適性を見極められるメリットがあります。
地域雇用開発助成金
求人が不足している地域で、その地域に住む人を雇用する美容室に対して支援する助成金です。
美容室の設備や施設にかかった費用や、雇用したスタッフの人数によって支給額が変わります。
まず、開業している美容室が地域雇用開発助成金の対象エリアかどうかの確認が必要です。
受給には、管轄の労働局に計画書を提出したり、雇用者が対象の地域に居住しているなど条件があります。
Uターンで美容室に働きたい人や、地元で働きたい人などの雇用に活用できる助成金です。
人材確保等支援助成金
どこの企業にとっても離職率や人材の定着は悩むもの。
こういった人材の確保、定着を目指し職場の労働環境の改善のための助成金です。
人材確保等支援助成金には、全部で9つのコースがあり目的に応じて選択することができます。
例えば、雇用管理制度助成コースは研修制度や、メンター制度の導入などを通して離職率の低下に取り組む美容室に対して助成されます。
そのほかには、介護福祉機器助成コース、中小企業団体助成コース、外国人労働者就労環境整備助成コースなどがあります。
キャリアアップ助成金
パートやアルバイト、派遣労働者などの非正規雇用者のスタッフを正社員として雇用したり、待遇改善を行うことで助成の対象となります。
美容室に6か月以上勤務している非正規社員を正社員として雇用することで離職率の低下につながると期待されています。
正社員登用のほか、賃金規定等改定、健康診断、短時間労働者労働時間延長など様々な助成があります。
労働者の意欲向上や、生産性を高めて優秀な人材の確保に役立てることができます。
両立支援等助成金
介護や出産などの事情がある労働者が、仕事を両立できるように取り組みを行っている企業に助成されます。
・出生児両立支援コース
・介護離職防止支援コース
・育児休業等支援コース
上記のコースがあります。
特に出生児両立支援コースは、男性労働者が育児休暇を取得しやすいように環境や業務を整えた事業主に支給されます。
両立支援等助成金の申請はそれぞれコースごとに必要で、美容室を管轄している都道府県労働局長に必要書類を提出します。
人材開発支援助成金
研修や実習など、雇用しているスタッフの人材育成に取り組む企業に支給されます。
経験の浅い若いスタッフに対しての研修や、中堅スタッフのマネジメント研修などさまざまな目的が対象です。
研修や訓練に対して助成される特定訓練コース、一般訓練コースのほか、教育訓練休暇等付与コースもあります。
教育訓練休暇等付与とは、雇用されているスタッフが技術や知識などの向上のため、有給休暇や長期休暇を取得した場合に助成されます。
業務改善助成金
生産性向上のため業務の改善を行い、事業所内の最低賃金を一定額以上の引き上げを行った企業に対して助成されます。
事業所内の最低賃金の引き上げを目的として設備投資などを行うことで、設備投資にかかった費用の一部が支給されます。
受給額は賃金の引き上げを行った従業員の人数などによっても変わってきます。
業務改善助成金は、厚生労働省の予算の範囲内で交付されるため申請期間内でも打ち切りになる場合があります。
申請の際には事前に確認するようにしましょう。
時間外労働等改善助成金
時間外労働等改善助成金は2018年に新設された比較的新しい助成金です。
時間外労働の削減や、有給休暇の取得を促すための費用を負担することを目的としています。
従業員の人数が少ないとどうしても労働時間が長くなってしまいがちに。
・時間外労働上限設定コース
・勤務間インターバル導入コース
・職場意識改善コース
・団体推進コース
・テレワークコース
上記のようなコースがあり、時間外労働等改善助成金を活用することで従業員の休養を確保できるため、質の高い仕事につながります。
産業保健関係助成金
雇用しているスタッフの健康増進や健康管理を促進する目的で厚生労働省の産業保健活動総合支援事業が取り組んでいます。ストレスなどのメンタルを含めた従業員の健康管理は重要です。
・ストレスチェック助成金
・職場環境改善計画助成金
・心の健康づくり計画助成金
・小規模事業場産業医活動助成金
・治療と仕事の両立支援助成金
産業保健関係助成金には、上記のようなコースがあります。
上手に取り入れて、働きやすい職場環境を整えましょう。
中小企業退職金共済制度に係る新規加入等掛金助成
中小企業退職金共済制度に係る新規加入等掛金助成とは、従業員の退職金共済や中退共制度に新規加入した場合に掛け金の負担を国が助成します。
厚生労働省の助成金と併せて共済制度で退職金の積み立てを行うことで、退職金を支払う際の負担を軽減できます。
退職金共済に加入している美容室は、まだ少数です。
退職金共済に加入して、中小企業退職金共済制度に係る新規加入等掛金助成を上手に利用することで、退職後の安心にもつながります。
まとめ
条件を満たしていれば、受給できる助成金は美容室にとって、助かる制度です。
計画書の作成や、書類の提出などが必要になりますが、助成金を受け取ることで運営の資金にも役立てることが可能です。
対象の助成金を知らなければ受け取ることができないため、利用できる助成金についてしっかり確認しましょう。
条件を満たす助成金があれば、迷わずに申請することをおすすめします。