美容師業界において、経験を積んだ後に独立することは珍しいことではありません。
特にご夫婦ともに美容師さんの場合、「将来的には夫婦で美容室経営」という目標をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事ではそんな素敵な夢に向かって頑張っている美容師の方々、
すでにご夫婦で美容室を経営されている方々に向けて夫婦で美容室を経営するメリットや売上アップに役立つ情報をご紹介します。
夫婦で美容室を経営するメリットとは?
夫婦それぞれが会社員のように美容室に勤務するのではなく、「夫婦で美容室経営」という選択をする方が多いのには、もちろんそれによるメリットが多いから。
まずは夫婦での美容室開業には、どのようなメリットがあるのかについてご説明します。
1人で経営するよりも夫婦年収がアップする
ひとつめのメリットは1人で経営するよりも、夫婦で経営するほうが夫婦の年収がアップすることです。
夫婦で経営することで施術できる人数は倍になり、その分売上アップを期待できます。
夫婦経営の場合は売上がアップすがれば、その分夫婦の年収アップに直結します。
サロン勤務の美容師さんの年収はそれほど高くなく、サロンでの立ち位置によって約200万〜350万円ほどと言われています。
サロン勤務の場合は年収アップも難しいですが、夫婦経営であれば売上が上がれば上がるほど、夫婦2人の年収につながるのは大きなポイントです。
従業員を雇うよりも節税効果がある
実は夫婦で美容室を経営した場合、従業員を雇った場合に比べ節税効果があります。
「青色事業専従者給与」というものをご存知でしょうか。
これは「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出、承認された場合、家族に支払う給与に対して控除が受けられるという制度です。
この制度をうまく活用することで
・住民税および所得税
・社会保険料
といった項目の負担軽減につながり、節税効果を期待できるのです。
他の従業員を雇うと必然的に発生してしまうものですが、夫婦であれば控除されるのでこの制度をうまく活用しない手はありません。
人材コストの削減が可能
美容室においてスタイリストやアシスタントを雇用することは必要なことですが、人材雇用にかかるコストは決して安くはありません。
従業員をひとり雇った場合、その人件費は毎月約20万円。
夫婦経営の場合も同様の人件費が発生しますが、「青色事業専従者給与」制度があるため、夫婦で経営した方が人材雇用のコストの削減につながります。
また、美容室を経営しながら採用や育成にかかる時間やコストを捻出するのは簡単なことではありません。
夫婦経営であれば人の入れ替わりが最低限で済むので人材採用にかかるコストを軽減できるのもメリットですね。
夫婦で経営する美容室の売上目安はどのくらい?
夫婦で美容室を経営するにあたり、経営管理のひとつの目標である売上目安をきちんと把握しておくことも大切です。
売上目安は「客単価×1日の来店人数×営業日数」で計算します。
厚生労働省の統計によると美容室のひとり当たりの平均客単価は約6,100円、一日の平均来客人数は平日で10人、休日で約14人といわれています。
では実際の売上目安額を計算してみます。
夫婦経営の場合、平日休日関わらず施術できる人数は限られているので、来客人数は平日同様は10人とし、美容室は週に一度定休日を設けているところが多いので月の営業日数は26日と仮定し、売上目安を計算してみます。
・6,100 (円)×10(人)×26(日)=1,586,000(円)
もちろんこれはあくまでも売り上げ目安ですが、お店の経営コストや手元に残る収益を考えると、最低でも120万円くらいは必要であると考えたほうがいいかもしれません。
夫婦で経営する美容室の売上を伸ばすためには?
1ヶ月の売上目安は約160万円。
いくら夫婦2人で経営しているメリットがあっても決して簡単な数字ではありません。
美容室を経営していく上で、安定した売上の確保や売り上げアップを実現するには小さな努力の積み重ねが肝心です。
ここからはすぐにでも実践できる売り上げアップにつながるポイントをご紹介していきます。
客単価を上げる
美容室経営において重要なのは客単価を上げること。
これは夫婦経営の場合、さらに重要なポイントになります。
これは値上げをするという意味ではありません。
経営コストを意識し、適切な価格設定を行うことがもちろん大切です。
「客単価を上げる」例としては、
・セットメニューをつくる (カラー+カット+トリートメントで15,000円など)
・単体メニューのお客様にヘアトリートメントの同時施術をおすすめする
・ロング料金を設定する
など、
基本の価格設定以外の部分で客単価を上げられるような対策を取り入れることで売上アップを見込むことができます。
物販などで人が少なくても増やせる売上の強化
客単価を上げる以外にお店の売上アップ効果を期待できるのが物販。
思ったように集客ができなくても、物販品の購入が順調であれば客単価も上がり、お店の売上アップにつながります。
実際、美容室で施術後に物販購入する方の割合は約2割いるといわれており、美容室で使用しているシャンプーやトリートメントを紹介しながら積極的に購入をお勧めすることが大切です。
シャンプーやトリートメントだけでなくヘアオイルなどのケア製品やスタイリング剤など、品揃えを豊富に取り揃え、物販に力を入れることは売上アップ対策としてとても有効です。
収支管理を徹底する
個人の美容室の経営において収支管理は経営を左右する大きな要素です。
近年では光熱費や原材料仕入れ価格も高騰しており、安定した経営を続けるためには、無駄な出費をなくすことが重要です。
夫婦だからといってうやむやにするのではなく、夫婦経営だからこそ、定期的に収支について確認し合うことが大切です。
徹底的な収支管理を行うことで無駄なコストだけでなく、経営課題を洗い出すいい機会にもなります。
しっかり帳簿をつけるのが難しい場合は会計ソフトなどを使用し、夫婦でお店の収支についてしっかり把握しましょう。
リピート率を上げる
美容室の安定した経営のためには集客率もとても大切です。
新規のお客様を獲得することはもちろんですが、リピーターのお客様をしっかり掴んで離さないことも重要です。
リピーターの方が増えれば、来店頻度や単価、好みのメニューなどから、売上見込も立てやすくなります。
また、リピーターの方は客単価が上がりやすい傾向にあるので、売上アップのためには非常に大切な存在です。
リピーター獲得対策としては
・お店を気に入っていただけるような接客を心がける
・リピーター限定キャンペーンを利用する
など
他の美容室との差をアピールし、お客様が「また来たい。」と思うお店づくりをすることがポイントです。
新規のお客様がどれくらいリピートしてくれているのか、定期的に確認しながらリピーター獲得対策を立てましょう。
夫婦で経営する美容室の売上を伸ばすための具体的な施策5選!
「夫婦で美容室経営する」というのは一見簡単そうに見えて、難しいことだらけです。
来店されたお客様の施術だけでなく、集客や売上管理に対する対策も夫婦でしなくてはいけません。
「どのようにしたら効率的に売上を伸ばせるのか」
「集客方法がわからない」
そんな不安をお持ちの美容室経営者の方々のために、すぐに実践できる方法をご紹介します。
SNSを活用する
近年集客方法として注目度が高いSNS。
いまや美容業界ではお店のSNSアカウントを作成し、定期的に運用しているところがほとんどです。
インスタグラムの場合は写真で実際のスタイル例をアピールしたり、お店の内装や雰囲気の写真を公開することもできます。
ハッシュタグ機能を活用すれば、より多くの人に見てもらえる機会が増えますし、コメント欄を利用して美容室のアピールやキャンペーンのご案内もできます。
それぞれのSNSの特徴を活かして美容室の情報を積極的に発信し、うまく集客に活用できれば売上アップも期待できます。
サロンのこだわりを積極的に発信していきたい経営者の方はSNSを使うことをオススメします。
集客サイトなどで掲載する
集客率や売上アップのために集客サイトを利用するのもひとつの方法です。
導入にコストはかかりますが、管理が簡単なのが特徴です。
集客サイトを利用することで、美容室をお探しの方が「地名+美容室」で検索した際にお店の情報が表示されやすくなるのがメリットです。
集客サイト内で予約までできるので、実際に集客サイトを利用して美容室を探されるお客様は非常に多いです。
集客サイトにお店の情報をたくさん掲載し、お店のイメージを掴んでもらうことで集客率アップにつなげましょう。
チラシやクーポンなどのポスティング
次にご紹介する売上アップのための施策はチラシやクーポンのポスティングです。
原始的な方法ではありますが、お店の認知度を高めるにはとても効果的です。
チラシやクーポンを受け取ったお客様はお店から通いやすいところで生活されている方がほとんどなので、集客につながりやすいです。
そういったお客様とは共通の話題なども多く、コミュニケーションがとりやすいのでお店に親しみを感じてリピーターになっていただける可能性が高いのも特徴です。
お客様の目に留まりやすいチラシを作成し、集客率アップに活用してください。
ホームページやブログなどの活用
お店のホームページやブログを開設することも売上アップ効果を見込めます。
HPやブログの特徴はSNSで伝えきれないお店の魅力やこだわりを紹介することができることです。
ホームページやブログとSNSなどの集客ツールを連動することで、
お客様がお店に対するイメージを持ちやすくなり、実際に足を運んでくれる可能性が高まります。
インターネットを使った集客をうまく活用し、お店のファンを獲得すれば、売上にもその効果が出てきます。
ネット広告を活用する
とにかく多くの人にお店の存在を知ってもらいたい場合、ネット広告を利用する方法もあります。
ネット広告の場合、美容室に関連したことを検索した方に対し積極的に表示されるので広告を見た方がお店の情報にアクセスしてくれる可能性が非常に高く、集客効果を見込むことができます。
ネット広告から来店につながるようHPの情報やSNSの管理をしっかり行うことが大切です。
ただし、ネット広告にはコストが発生するので適切に利用することがポイントです。
まとめ
「夫婦で美容室経営したいが、売上や集客が心配」
という不安をお持ちで美容室開業をためらっている方も多いかもしれません。
しかし売上や集客に対して不安を抱えているのはどんな業界の経営者の方も同じです。
お客様を獲得するための技術力向上ももちろん大切ですが、「夫婦で経営」という他の美容室とは違う強みを生かし、ご夫婦で売上対策や集客対策を立てれば安定した美容室経営つながります。